鳥勝 ぶっちー
鶏のさばき方、理想としては「切る・はがす」より「ほどく」に近いかもしれない
2024年3月2日
こんにちは!
ついに2024年のF1が開幕、
本日は第一戦の「バーレーングランプリ」の日です。
今年も日本人の角田くんはフル参戦。
マシンの前評判は割と良いようですが
下馬評通りの戦いができるでしょうか?
大人になると昔に比べて、楽しみに
する事象が減ってしまいますが
F1はそんな中でも本当に楽しみ。
仕事にもいい影響を与えてくれています。
ぶっちーです!
さて、今回は「鶏のさばき方」です。
本格的に僕がこの仕事に
取り組むようになってから早10年ほど。
当初に比べて現在の鶏のさばき方は、
とても「丁寧で早く」なっているはずです。
10年ほとんど毎日やっていますから、
当たり前のはなしです。
しかし、ただ毎日同じ作業を繰り返して
いたから「丁寧で早く」なったわけでは
ないはず。
毎日毎日さばきながら、
「この場所はこうさばいた方がいいかな?」
「ここは切り込みを一回増やした方がいいかも」
など、常に考えながらさばき続け
ようやく今の段階にいるはずです。
10年前にこの仕事を覚えはじめた時は
「とにかく早くさばく」ようになる事が
一番の目標で、一人前の定義だと考えていました。
「仕事をこなす」という意味では
それも当然、現在でも間違ってはいないと
思います。が、しばらく経つと
「丁寧にさばく」「きれいにさばく」
という所にもだんだんと重きを
置くように考えが変化するようになりました。
上でも触れましたが、鶏をさばきながら
常にイメージを持たなければ進歩はしません。
より良く、きれいにさばく。
キレイに肉をできるだけ傷つけず、
骨からはずす。
そんなイメージ、最近さばいている
時の意識として
「骨から肉をほどく」が
一番しっくりくるんじゃないかと
思っています。
部位別に少しみてゆきましょう。
これは、もも肉をはがす直前の画像です。
このもも肉の画像、まさに
筋繊維がわかりやすく見えていて
「ほどきがい」がありそうですね笑
画面中央、谷のようになっている所に
包丁で切り込みを入れ、
脚を画像で言うと左上の方向に
ひっぱるようにして剥がします。
切れ込みを入れるというのはこんな感じです。
一口に切れ込みを~と言っても、
ソリレスと呼ばれる部分は骨が丸く
窪んでいて、包丁で一回入れ込みを入れた
だけでは直線的に切れてしまい、
肉が骨にかなり残ってしまいます。
ですので、ここの箇所は少し切れ込みを
入れたら「親指の指先をスライドさせ」
剥がします。
画面中央右側、骨の右に見える
骨盤ともも肉の間に切れ込みを入れる際も同じ。
肩回りを捌くとき、まず
皮に切れ込みを入れなければいけません。
皮はさすがに「ほどく」等の
感覚では開きませんので、
包丁で皮に切れ込みを入れます。
この時も、皮の下にどの部分が
あるかを意識しないと後々
うまくさばけなくなってしまいます。
皮をめくると、僕たちで言う
肩の骨や肩甲骨に該当する部分が
見えます。
皆様、この画像でまずどこに
切れ込みを入れれば
うまく肉が外せると思いますか?
この工程は、むねにくと
手羽(手羽先・手羽元)を
外す工程です。
正解はここ。
この赤いラインの箇所を包丁を使って
切れ込みを入れます。
上部、弓なりになっている
箇所には関節があります。
この関節の真ん中を割るように
包丁を入れ、スジだけ切ってやります。
スジだけ切れる感覚があったら、
関節の間をすべらせるように
包丁を動かし、関節を外すように
画面向かって左に動かします。
文章で表そうとすると全く
伝わりませんね。。。
僕も書いていて、なんだこの文章状態です。
技術的な事を人に説明しようとすると
かなり無理が出ますね。
現物を前にして説明すると
分かりやすいのですが、、、
この部分はまさに自分が
「ほどく」と感じている部分の一つで
最低限の筋を切って、筋肉を
骨から引き離す、そんな感覚で
さばいている箇所です。
ここが上で説明していた関節です。
ちょうど肩の関節になります。
こちらは関節の手羽元側。
関節にはまり込む形の丸い形の
骨が見えていると思いますが、
そのすぐ上に白く飛び出ているものが
先ほどの「スジ」です。
この関節の周りのスジだけを
うまく切ってやると、関節を外しながら
切ることができます。
こちらは関節の「受け」側。
凹凸でいうと凹側です。
冒頭にも少し触れましたが、
急いでバラすという所にあまり
着眼点を置きすぎると、この関節なんかは
関節ごと切り落とした方が
早いという判断になってしまうでしょう。
そうなると当然、切り口も汚く
「切り刻んだ」ような切り口になってしまいます。
今回は肩まわりで
「ほどく」さばき方のイメージを
説明しましたが、ぼんじりやせせり、
もも肉の骨抜きも同じイメージです。
スジや筋肉と骨の位置関係や
接している断面積などがそれぞれ
違うので、一概には言えませんが
「スジを切る」や「剥がす」
「引っ張る」などの動作は一緒です。
ちょっと言い方がよくないですが、
鶏肉を骨と肉、スジで構成された
立体パズルのように捉えると
今僕が考えているような
「ほどく」さばき方のイメージが
湧きやすいと思います。
この先何年もこの仕事を続けていれば、
さらに新しい「何か」が見えるかも
しれませんが、着地点は同じです。
鶏肉を、名古屋コーチンの肉を
いかにきれいに傷つけず、
骨から外すか。
それが、飲食店さまやお客様の
「おいしい」に確実に
つながっていると思います。
さらに切磋琢磨して、世界一きれいに
早く、トリをさばく男を目指します!
それでは今回はこの辺で!
また次回!