鳥勝 ぶっちー
地鶏の味を左右する独特の風味は「脂肪酸組成による」もの?最新の知見
2024年7月8日
こんにちは!
とんでもなく暑い時期が
始まってしまいました。。。
静岡では、観測史上初の40度超えを
記録、名古屋でも連日35度を超える日が
続いています。
先日のブログでも少し触れましたが
鶏にとって暑さは天敵。
今はまだミストと扇風機でしのいでいますが
今後どうなることやら。。。
今はとにかく耐え忍ぶしかない時期です。
ぶっちーです!
さて、少し前の話ですが、
名古屋コーチン協会の総会に
参加させて頂きました!
名古屋コーチン業界はとても狭く、
大体の人が顔見知りになってゆきます。
今回も愛知県や名古屋市など、
公的機関の方の参加もあり、
滞りなくおこなわれました。
総会の後には毎回恒例の
講演会があります。
勉強会とでも言うべきか、今回は
愛知県の農業総合試験場の方が
お見えになり、名古屋コーチンに関する
最新の研究の進捗をご説明頂きました。
正直、大筋では2年前の「最新の知見」で
伺ったこととそれほど変わりはなく、
新しい名古屋コーチンの型の開発に関する
事が多かったように思います。
しかしその中で、今回は「食味」に関する事も
多く聞く事ができました。
その中でも僕は「脂肪酸」のお話が
とても印象に残ったので少しご紹介します。
地鶏は日本各所で名産となっていますが、
独特の脂の甘味やうまみも人気の一つです。
名古屋コーチンは中でもさらにその傾向が強く、
他の地鶏と比べても脂の甘さ・豊潤さが
強く感じられると言われています。
今回配布され説明された資料の中に、
枠は小さいもののブロイラーや
ほかの地鶏と脂肪酸組成を比べた
研究結果が載っています。
ブロイラーとの比較では言わずもがな、
他の地鶏との比較でも名古屋コーチンは
この脂肪酸組成が特徴的ではないか
という話になりました。
そもそも「脂肪酸」って何でしょう?
僕もあまり詳しく知らない分野の話
だったので、少し調べてみました。
農林水産省によると、脂肪酸とは
脂肪酸は、炭素(C)水素(H)酸素(O)の
3種類の原子で構成され、炭素原子が
鎖状につながった一方の端に
カルボキシル基(-COOH)がついているもの
とされています。
。。。。さっぱりですね。
中学校の授業みたいで訳が分かりません。
ざっくり言うと、「脂肪」を構成しているもので
脂肪の中の9割はこの脂肪酸が占めているそうです。
今回の研究では
〇パルミチン酸
〇オレイン酸
〇リノール酸
〇アラキドン酸
が比較対象として数値が載っています。
地鶏はこの中でもオレイン酸の
組成率が高いとの事ですが、
名古屋コーチンはその中でも特に
オレイン酸の脂肪酸組成が高く、
この事が独特の風味に繋がっている
可能性があるとの事でした。
(あくまでも可能性です。)
上記の図の通り、オレイン酸は
オリーブオイルの主要成分とのこと。
あまり鶏と関係が無いように思われますが、
エサからの蓄えかたの違いになるのでしょうか?
このオレイン酸の数値が高いようです。
今回はどうやら予算の関係で「むね肉」
(それもオスのみ)の比較研究に
とどまっているようで、もも肉や
さらにメスも含めた検査研究が行われた
時には、少し結果が違うものになっているかも
しれません。
しかも、この脂肪酸組成はどうやら、
鶏の種類によって組成率がある程度
決まってくるのではないかとの事です。
つまり、今回高かったオレイン酸の
脂肪酸組成率は「名古屋種」という
種であることそのものが理由ではないか、
という事です。
少し前のブログで、秋田の
比内地鶏のおいしさに少し触れましたが
当然比内地鶏は名古屋コーチンと
味が違うものでした。
名古屋コーチンと比内地鶏、
両方とも地鶏特有のおいしさが
あるものの、明確に味が違う。
その原因が、もしかしたら
今回の研究で触れられたような
「脂肪酸組成」の違いによるものかも
しれません。
名古屋コーチンは「脂がおいしい」鶏
とよく評されますが、独特の
バターを思わせる芳醇な香りも、
もしかしたらその辺に理由があるのかも
しれませんね!
この上のページに出ているように、
食味に関わるところは他にも、イノシン酸や
グルタミン酸など、いわゆる
「うまみ成分」も関わってくる範囲なので
脂肪酸組成がすべてではないのでしょうが、
様々複合的に絡んでいる要因のうちの
ひとつである事は間違いないでしょう。
少し蛇足として、研究員さんのお話を
聞いていると、研究の予算が低い事が
主な要因としてこれ以上詳しく調べる事が
出来ないという話がちょくちょく出てきていました。
愛知県や名古屋市さんには、なんとか研究費を
増額して頂きたいものです。
数字としての裏打ちがあるおいしさは、
必ず僕たち名古屋コーチンに関わる人たちの
力となります。
これからも愛知県総合試験場畜産研究部
養鶏研究室の皆さまにはもっともっと
がんばって頂きたいです!
それでは今回はこの辺で!
また次回!