塩井 隆夫
破損した屋根の養生方法(土木でのやり方)
2019年10月24日
皆さんこんにちは。
エンタです。
災害に見舞われた方々の家の屋根補修について話しがありました。
と言うのも、屋根の一部が崩壊し雨水が入ってくるのを対策したいと。
しかし、それには人手が必要。
修理をしてくれる業者すらままならない状況の中で、仮設の方法は何が良いか?
写真の様にとりあえずブルーシートを掛けている屋根が多いのがわかります。
でもこれでは風の心配がありますよね。
そこで、写真の様に土嚢を設置したりしています。
別にこの方法が悪いというわけではありません。
問題は無いのですが、ブルーシートは耐候性に悪くすぐに劣化してしまうと言う事で、
復旧するのに1年以上待つ方もいる中でブルーシートでは保たない可能性が高いと言う指摘でした。
我々土木に携わる者はほとんどが知っているのですが、
安い輸入品のペラペラのブルーシートと#3000番のしっかりしたブルーシートがあります。
この厚みによって耐年数ある程度の基準があるんです。
番手 | 厚み | 耐久期間 |
---|---|---|
#3400 | 約0.28mm | 約10~16ケ月 |
#3000 | 約0.26mm | 約9~12ケ月 |
#2500 | 約0.19mm | 約7~9ケ月 |
#2200 | 約0.17mm | 約5~7ケ月 |
#2000 | 約0.15mm | 約3~6ケ月 |
#1500 | 約0.13mm | 約1ケ月 |
#1100 | 約0.10mm | 約1ケ月 |
参考:https://www.kensetsu-shizai.com/
だいたい3000番を使用していれば1年近く保てる訳です。
しかし、ココでとりあえず安全を加味します。
3000番の2枚掛けです。
と言うのも、我々公共事業者は地滑りや土砂崩れなどの場合や対策にのり面(崖)上にブルーシートを張ります。
役所の計画が1年以上先の場合もあるため、その様な時は2枚重ねで使用します。
そうする事で雨水による安全を担保しているわけです。
そして次に、風対策ですね。
ブルーシートは風の影響を受けやすいため土嚢を置いたりしていますよね。
それでも十分対策になるのですが、出来ればもう1つオススメしたいのがグリーンネットです。
よくゴルフ場等にあるあのグリーンネット。
これをブルーシートの上に掛けます。
なぜかと言うと、ブルーシート+土嚢は1土嚢の荷重が1箇所にしか伝わらないです。
例えば1m×1mのシートの角に4つ土嚢を置きます。
真ん中に風が一気に入り込んだ時に真ん中が押し上げられて土嚢が外れてしまう可能性があります。
この上にグリーンネットを掛けて土嚢を置いたとします。
真ん中に風が入ってもネットにも力が分散されているのである程度抑える事が出来ます。
これって土木の台風養生ではかなり一般的なんです。
チカラを分散させるためにネットを使用するんです。
点で抑えるよりも面で押さえるってイメージです。
この考えを家屋等に使用した時にこんな感じですね。
ちょっと大きく表示するとこんな感じです。
破損している以外の所も覆って下さい。
なぜかと言うと、一部が破損しているという事は、その他の部分も破損している可能性があるからです。
何度も仮設工事するよりも1度でしっかりやった方が安全です。(最終的に修理する意味で書いてます。)
ブルーシートを2枚掛けるコツですが、
4つのカドを合わせてロープなどで縛ります。(針金・番線・インシュロック等でもOK)
2枚がズレない方が極力良いですね。
屋根にシートを張ります。(破損部を中心に出来ればなお良い)
その上からグリーンネットを張ります。
グリーンネットとブルーシートが出来る事ならハトメ等を使用して一体に出来ればなお良いです。(ハトメ強度は気にせず)
グリーンネットは地面まで来ていればそこに土嚢なりを置いて下さい。
出来るだけグリーンネットはピンっと張った方がブルーシートに荷重が掛かります。
上記では屋根の上に土嚢が書いてありますが、無くてもOKです。
恐らくですが、2人いれば1家であれば半日くらいかと思います。
そして、お金の話です。(全てインターネット調べ)
材料代
3000番ブルーシート1枚 10m×10m 約6,000円~約10,000
グリーンネット1枚 5m×10m 約7,000~13,000円
上記絵で必要とした数量
ブルーシート×2枚=12,000円~20,000円
グリーンネット×4枚=28,000円~52,000円
合計=40,000円~72,000円
人件費(実際は半日で終わるので段取り、安全設備対策費含むものとします。)
1人当たり25,000円~
2人×25,000円=50,000円
上記を足すと
1家当り90,000円~122,000円(最低価格)
会社の規模にもよるでしょうが、15万円前後であれば普通の価格だと思われます。
高いか安いかハッキリした事はわかりませんが、この位じゃないかと思います。
もしも仮設で台風養生されるようであればこの方法は非常に効果的です。(正確に行った場合)
土木現場では日常的に使用される仮設方法です。(土嚢は多めですが)
試す価値は十分にありますが、その際は自己責任でお願いします。
それではまた。
※上記記事はあくまでも土木工事で行われている対策です。全ての家に万能かと言えば分かりません。
有効な手段ではありますが、全ては自己責任の元において実施して下さい。
私は一切の責任を持ちません。ご了承下さい。